●ワーキングメモリの使い方
「ことば学講座」で「ワーキングメモリの使い方」を取り上げています。
「ワーキングメモリって、初めて聞く言葉です」
という方が結構多くて驚きましたが、むしろ安心しました。
先入観があるより、まっさらなほうが、ノイズが混じらず、
最終的な到達レベルが高くなるからです。
会話やスピーチやプレゼンテーションや文章など、
言葉を上手に使いこなしたいとしたら、
「ワーキングメモリ」抜きに語ることはできません。
なにしろ、ワーキングメモリとは「脳内で情報をいじる場」のこと。
つまり、「言葉を操作する場」のことなのですから。
語彙を増やせば、話し方が上手になるか。
なりません。私が良い例です。
言いたいことを表す言葉がうまく口から出てこなくて悩んでいた小学時代、
国語辞典を丸ごと覚えればすべて解決! と早合点して、
猛烈に語彙力アップに励みましたが、悩みは解消しませんでした。
身につけるべきは語彙ではなく、「ワーキングメモリの使い方」だったのです。
ワーキングメモリの使い方が改善しないまま、
ひたすらデータを溜め込むように語彙を増やしていっても、
データを呼び出す能力がなかったら、宝の持ち腐れです。
※データの呼び出しはワーキングメモリの働きの一つ
語彙が増えはして、通じにくい言葉をやみくもにポンと投げ込んだり、
「言葉は正しくても、タイミング的に正しくない」使い方をしたりと、
コミュニケーションにとってマイナスの行動を起こしてしまう。
そんな人、きっとあなたのまわりにもいるでしょう。
ほかの言葉を知らないわけではなく、性格が良くないわけでもなく、
「ワーキングメモリの使い方」が下手なせいで、
嫌がられるような言動になってしまうのです。
●デザートは何になさいますか?
食後のデザートを勧められたときも、ワーキングメモリが活躍します。
「デザートは何になさいますか?
マンゴーとココナッツのシャーベットと、
マンゴークリームの猫ちゃんロールケーキと、
ココナッツミルクのさわやかブラマンジェがございます。
お好きなものを2つお選びください」
こう説明されて、「ではシャーベットとブラマンジェをお願いします」
と答えられる人は、ワーキングメモリの使い方が上手です。
相手の話を聞きながら、「いま聞いたばかりの言葉」だけでなく、
「その前に聞いた言葉」「さらにその前に聞いた言葉」まで覚えていないと、
コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
まあこの例は極端なので、こんな聞き方をされたら、
「えっ、ロールケーキと、猫と、なんでしたっけ?」
なんて困惑する人が多いでしょうね。
つまり、さわやかブラマンジェを聞きながら、猫ちゃんロールケーキのことや、
シャーベットのことまで覚えていないと、何度も聞き返して繰り返させたり、
結局あきらめて「じゃあ最初の2つで」なんて適当な決め方に逃げることになる。
※言葉の一時的な保持はワーキングメモリの働きの一つ
ワーキングメモリの使い方がうまくないと、
ほしいものが手に入らないこともあるわけです。
こんな経験はありませんか?
・しゃべっているうちに、自分が何の話をしていたのかわからなくなった
・相手の話を聞いていて、言いたいことがわからなくなった
・文章を書いているうちに、まとまりがつかなくなって、結局あきらめた
このような現象には、脳のワーキングメモリが関係しています。
中には上記のような経験が頻繁に起こると、
「老化かな」「認知症かも」と心配する方もいますが、
単にワーキングメモリの使い方の問題です。
コミュニケーション能力が高い人、仕事のスキルに優れた人、
成果を上げる人は、ワーキングメモリの使い方が適切で、
メンテナンスもできていると言われています。
今回の「ことば学講座」では、ワーキングメモリの使い方を学びましょう。
ことば学講座でバッチリ勉強しましょうね。
↓
https://wsi-net.org/kotoba.html (ことば学講座)
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