身体操作の達人になろう

●身体の「つながり」を取り戻す方法

身体操作の達人


骨盤を起こす例で説明したように、「腰の使い方」は日常生活の快適さにとって、本当に大事です。

床に落ちているものを拾う時、「重心」を「物」に近づけるコツはもう体に沁みついていますか。頭で考えているうちは、急いでいたり面倒くさがったりして、ついテキトーに手を伸ばしてひょいっと拾ってしまいますね。

ぎっくり腰になった経験者もいるでしょう。

なぜテキトーにひょいっとやると、体に負担がかかるのか。その理由が「つながり」です。

重心を物に近寄せて拾う時、上半身と下半身のつながりが保たれます。「テキトーにひょい」はつながりが切れてバラバラ。

つながりのキープはとっても大事。

「つながり」は、言葉でも発声でも身体操作でも意識でも文章でも、MKCのあらゆるテーマに共通する重要ポイントです。

階段の昇り降りも、毎日何回も繰り返す動作でありながら、無造作におこなっているせいで、膝や腰に負担を積み重ねていることがあります。

特に降りる際に気をつけないと、膝に負担がかかります。膝にトラブルを抱えている方は、実感があるでしょう。上に残った膝が痛んで、手すりにつかまる手に力が入りますね。

自分の体を上手に使いこなして、一生快適に過ごしたい。身体操作の達人を目指しましょう。



●「後ろの筋肉」が特に大事


MKCカウンセリングのメインレッスンは『楽しんでいるうちに人間関係がどんどん良くなるレッスン』(どんどん良くなるレッスン)です。

人間関係というと、コミュニケーション能力を向上させるレッスンかと思われがちですが、言葉や話し方だけでなく、身体操作も人間関係に深く関わっています。

コミュニケーション能力の一環でいえば「発声」は身体操作だし、表情やしぐさなどの動作も身体操作です。

動作にどのくらいのエネルギーを要するかによって、コミュニケーション能力が変わります。

笑顔を作る筋肉が弱くて、必死に力まないと笑顔にならない人は、いつもしかめっ面になって、人間関係に影響しそうでしょう?

立ち上がったり座ったりする動作も影響します。

久々に会った知り合いが待ち合わせ場所に現れたとき、満面の笑顔でスッと立ち上がる人と、「よっこらしょ。イタタタ」と顔をしかめながら立ち上がる人とでは、相手に与える印象がぜんぜん違います。

会った瞬間の印象は後に残るので、あとで思い出しながら「あの人、私にあまり会いたくないみたい」という印象がずっと残ってしまうでしょう。

同じ動作をするにも、膝や腰、背骨、股関節などに負担をかける動作をしていると、年齢を重ねるにつれてダメージを蓄積していきます。

「だから身体操作のトレーニングをしましょう」と伝えると、腹筋運動やスクワットをイメージする方が多いのですが、それはそれで良いとしても、MKCカウンセリングでは関節を伸ばすときに使う伸筋の使い方を重視しています。

伸筋か屈筋かでスパッと区別をしてもあまり意味がないのですが、ざっくりいうと「体の後ろ側にある筋肉」を上手に使った身体操作に習熟すると、体を楽に動かすことができます。たとえば、広背筋や上腕三頭筋、ハムストリングスなどですね。

ほかにも、腸腰筋など体幹や上肢・下肢の内部にある筋肉(深層筋、インナーマッスル)の使い方も見直して、必要に応じて鍛えましょう。

筋肉を鍛えるのは、体をガッチリ固めるためではありません。必要最低限の筋力で動くのが、良い動き方です。

だから、逆説的ではありますが、筋力に頼らず、バランスで動くために、必要な筋肉を鍛えるのです。

詳しくはレッスンの中で取り上げるとして、一例を挙げてみましょうか。



●「バランスの良い動き」とは


いつもバランスの良い動きをしていますか?

「バランスが良い」とは、どういう動きなのか。

「重力に対して最適な動き」という意味です。

言い換えると、「支点で固めるような力に頼らない」ともいえます。

たとえば、「バランスの良い歩き方」は、力みがなく、よろけない、安定感のある歩き方です。

よろけそうになったら、どうするか。

足の指や足首あたりにグッと力が入ったり、手でどこかにつかまったり、杖がほしくなったりするのは、「支点で固めるような力に頼っている」方針ですね。

むしろ逆に身体をやわらかくして、関節をゆるめ、適切な位置に足を踏み出して、身体の安定を取り戻すのが、「バランスの良い歩き方」です。
竹馬
竹馬に乗ったことはありますか? 竹馬は接地面が小さい棒なので、「指でつかまる」ような動きはできません。だから、適切な位置に足を踏み出さないと、よろけてしまう。

その場でピタリと静止するのはなかなか難しく、小さく足踏みするように位置を動かし続けると簡単に立っていられます。

つまり、筋力でこらえているのではなく、動き続けることでバランスを保っています。

竹馬の場合、バランスを崩して倒れかけたときに、「筋力でしがみついてもどうにもならない」感覚がわかると、このレッスンは理解しやすいでしょう。

かんじきを知っていますか? 雪の上を歩くときに沈まないように接地面を大きくした履物です。スキーやスノーボードを足に付けていたら雪に沈まないのと同じ原理ですね。

かんじきは「雪に沈まないように」という目的であって、「接地面を広げて安定させ、転ばないように」という目的で履くのではありません。

もし仮に、「接地面を広げて安定させるため」にかんじきを履いたとしたら、確かに接地面だけは安定しますが、それに見合った力で足首を固める必要があります。足首をガッチリ固めたら、次は膝を、股関節を、胴体を……と全身をガッチリ固めていく方針になってしまいます。

四股や片脚スクワットのような運動をすると、実感できるかもしれません。片足状態で静止するには、関節の柔軟性が必要です。軸足の指で床をつかまえて安定させる能力なんて、タカが知れていますから。

竹馬よりはマシですが、それでもある程度までバランスを崩したら、指による修復はできなくなります。

私がかつて体操部で覚えた倒立(逆立ち)もそうでした。逆立ちでずーっと歩いていくのは、難しくない。体育館の壁際を延々と逆立ち歩きをしたものです。

しかし、ピタリと静止するのは難しい。だから中学生の体操競技の大会では規定メニューに倒立が入ることがありました。3秒だったか、しばらくピタリと静止しないと倒立を抜かしたことになって、減点。

ではどうやって静止するかというと、指の力加減、肘の屈伸、肩の位置の調整、時には膝の屈伸などによってバランスを保ちます(ここでも伸筋が特に大事)。

ガチッと固定する方針ではなく、動きの中でやわらかくバランスを保つ方針です。静止するためには、やわらかくなければならないのです。

意識コントロールのレッスンで扱う精神的安定も同じですね。精神的に静かになるには、やわらかさが大事。固くなったりストライクゾーンが狭かったりすると、精神的に動揺しやすくなります。

筋力に頼らない、バランスの良い動きを覚えましょう。


MKCカウンセリングのメインレッスンは『楽しんでいるうちに人間関係がどんどん良くなるレッスン』です。レッスンで会いましょう。


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