●リーダーは「任せる技術」をマスターしよう
今度の「ことば学講座」は、「任せる技術」です。
手続きがまだなら、こちらからどうぞ。
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リーダーや指導者の立場にある方にとって、「任せる」は必須技能といえるでしょう。
「任せる」には、適切な言葉、適切なタイミング、適切な働きかけがあります。
プレイヤーの立場だけしかなかった頃は、「がむしゃらにがんばる」が通用しましたね。
しかし、部下ができたりチームを任されたり、「教える」役割を得るなどして、リーダー的な立場になって「がむしゃらにがんばる」ままだと、途端にうまくいかなくなります。
すでに経験済みかもしれません。
本当に「急に」うまくいかなくなったでしょう?
「3月まで最高にうまくいっていたのに、4月から仕事が苦しくてたまらない」のような具合に、あっという間に。
自分ばかりが仕事を背負い込んでいっぱいいっぱいになってしまったり、部下やチームがうまく動かなかったり、「私だってがんばってる」という気持ちばかり強くなって上司や他者とも摩擦を起こしたり。
原因は、「任せ方が下手だから」と考えられます。
そりゃ無理もないですよね。昨日まで「生徒」だったのに、いきなり「今日から教師ね」と言われるようなもので、上手に生徒たちをまとめたり伸ばしたりできるわけがない。
昨日まで「選手」だったのに、いきなり「今日から監督ね」と言われて、うまくやれると思うほうが危ない。
「名選手、名監督にあらず」なんて言葉もありますね。
今までは「ひたすらがんばる」で通用していたから、同じ感覚で「がんばってね。私もがんばるから」になってしまう。
しかし、役割が違うのだから、「同じようにがんばる」「みんなでがんばる」では立ち行かなくなります。
なぜなら、「がんばる」ことによって、相手や全体を見る「視点の高さ」が無くなり、余裕を失うからです。
「任せる」は、チームメンバーや部下に対する場合だけではありません。あらゆる人間関係で「任せる」が発生します。
「任せて、感謝」が正解の場面で、任せるのが不安なのか、感謝するのが億劫なのか、「いや、いいです、いいです、自分でやります」と突っぱねてしまうと、恵まれにくくなっていきます。
「任せる」には、守らなければならない原理原則があるのです。
●無理してがんばらなくてもいいレベル
「任せる」方法は来週にこってりお伝えするとして、「マスターする」について今日は考えてみましょう。
「任せる技術をマスターしよう」と先ほど言いました。
「軽く見聞きしたことがある」レベルではなく、「マスターしている」と胸を張って言えるレベルまで、「任せる技術」を身につけてほしいのです。
どういうことか。
「任せる」の重要性は、どこかで何回か聞いたことがあるでしょう。
しかし、「任せる」の重要性が本当にあなたの中に浸透しているか、というと、怪しい。
単なる「聞いたことがある」知識レベルにとどまっているのでは、「マスター」にはほど遠い。
本当の本当に、潜在意識の深層部分にまで浸透していなかったら、「余裕が無くなると、原則を外してしまう」ものです。
「任せる」が大事と頭ではわかっていながら、余計な口出しをしたり自分がやろうとしたり先回りしてミスが起きないようにお膳立てしようとしたりして、「結局それでは任せていることにならない」状況を招いてしまう。
しかも、
「口を出さないように我慢」
「自分がやりたくなっても我慢」
「失敗するチャンスを奪わないように我慢」
になってしまう。
「我慢」しているうちは、本当に大事なのだとマスターしている状態ではありませんよね。
わかりやすい例を挙げるなら、人から何かを質問された子供が答えようとしている時間を待ちきれず、脇から「○歳でしょ」「今度小学校に上がるのよね」などと助け舟を出してしまって、コミュニケーション能力を鍛えるチャンスを奪ってしまうようなケースがあります。
本当の本当に「任せる」「自分でさせる」ことの重要性が理解できていれば、「待ってあげないといけないと思いつつも、我慢できなくてつい」にならないはず。
・相手に早く答えを渡さないと悪いのでは
・さっさと答えて、出かけたい
・答えづらくて困っているなら可哀想だから
といった思いと天秤にかけて、「口を出しちゃえ」「自分がやっちゃえ」「今回ぐらい脇から手を出しても構わないだろう」と判断してしまうわけだから、重要性を十分わかっているとは言い難い。
あなたはこの機会に、「完全マスター」を目指してください。
我慢しなくても、理屈で無理やり自分を納得させなくても、自然に体が動く状態が「マスター」です。
子供向けの話し方レッスンでいう「挨拶マスター」とは、「挨拶は大事だから、ちゃんとしなければいけない」と知っている子ではなく、「いちいち考えなくても、ごく当たり前のように挨拶が出る子」のこと。
無理しなくても、最適な「任せ方」ができるように、トレーニングしますよ。
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