●食べ物より音楽より大事なこと
私たちは何に喜びを感じ、何にむなしさを覚えるか。
何にストレスを感じ、何によってストレスが軽くなるのか。
答えは──「人とのつながり」。
ベタなようですが、これが真理だということを、
大人のあなたはもう十分わかっているでしょう。
おいしい食べ物も好きな音楽も、喜びを感じさせてはくれます。
しかし、大好きな彼にフラれそうだとわかった瞬間、
音楽はむなしく響き、食事は砂を噛むようになる。
音楽を聴かない日が続いても困りはしないし、
好きな食べ物がなくても何か食べられれば文句はない。
しかし、人間関係がうまくいっていない職場は一日でもつらい。
──ということは誰でも実感を伴って、わかる。
「性的成熟度が低いと人間関係がうまくいかない」メカニズムは
MKCのレッスンを受けていないと理解できないけれど、
「人間関係がうまくいかないと、つらい」のは小学生にもわかります。
●いま感じている「つらさ」が軽くなれば
「一人が気楽でいい」と思う人も、
実は「人とのつながり」があると確信できていて、
もしものときは助けてもらえると信じているからこそ、
そんな暢気なことを言っていられます。
人との関わりを避けたい人でも、「何かあったら救急車」と思っている。
救急車だってオペレーターと会話をしなければ来ないのに。
家にこもって一人で過ごすのは、たしかに気楽でしょう。
しかし、「お腹がすいたから何か食べよう」としても
誰も食品を売ってくれない、出前にも応じてくれないとしたら、
「一人が気楽」と言っていられるか。
窓ガラスが割れても誰も直してくれない。
水道から水漏れしていても、自力でなんとかしなければならない。
ゴミだって、町内会など自治会として収集してもらえるのであって、
自治会との関わりを嫌がるなら自力で収集業者を呼ばなければならない。
業者を呼ぶのだって、「人とのつながり」ですよね。
他者との接触がストレスを生むといっても、
他者との接触を避ければ避けるほどストレスは大きくなるはずです。
まして関係が近くなれば、なおさらです。
家族や恋人、職場の同僚や取引先など、
頻繁に接する相手とうまくいかなかったら、つらい。
今もしあなたが、日常生活の中でストレスを感じているなら、
対人関係がうまくいけば、そのストレスは大幅に軽減するでしょう。
「人との接触でストレスを感じているなら、
人との接触を避ければ避けるほど、ストレスは大きくなる」
この法則は、知っておいて損はありません。
●職人や芸術家になればいいのか
「凄腕の職人や芸術家、技術者みたいに、
対人関係が下手でも生きていける仕事はありそう」
そう考えて、人との接触が少なそうな職業を選ぶ人もいるそうです。
たしかに、たとえば翻訳者は与えられた仕事を自宅にこもって
コツコツこなせばよさそうに見えるのでしょう。
システムエンジニアはコンピュータとだけ向き合っていればよさそう。
画家は毎日好きな絵を描いていれば食べていけるだから、いいなあ。
──そう思うかもしれません。
でも、私は翻訳者として生活していた時期もあるので
事情をある程度は知っていますが、生計が成り立っている翻訳者は
「コミュニケーションができる人」でした。
演奏家もそうです。
「演奏が凄ければ、コミュニケーションなんかしなくても引く手あまた」
と思うでしょう?
しかし、演奏で食べていける人は、話せる演奏家です。
ステージでのトークのことではありません。
関係者や共演者とのやり取りです。
コミュニケーションが億劫では、演奏の機会を与えてもらえません。
やはり対人関係です。
ましてお客さんや同僚と頻繁に話をするような職場なら、
「対人関係で快不快が決まる」といっても過言ではありません。
MKCレッスンを受けているあなたに、トランス能力を獲得してほしい理由は
ここにあります。
トランス能力が低いと、どうしても「ぶつかる」のです。
だから対人関係で摩擦を起こし、きもちいい会話ができません。
これからの人生を豊かなものにするために、トランス能力を高め、
対人能力を高めて、大人の余裕で生きていきましょう。