人前でのスピーチより大事なワケ

●人前でのスピーチより会話が大事

「人との接触でストレスを感じているなら、
人との接触を避ければ避けるほど、ストレスは大きくなる」

知っておきたい法則として、前回お話ししました。

人との接触を避ければ避けるほど、対人ストレスは大きくなります。

MKCが「会話」を取り上げ、あなたに会話をマスターしてほしい理由が
ここにあります。

人との接触を避けなくていいように、会話を会得しておくのです。

人前でのスピーチは、たしかに緊張しますね。
「人前で話すのが一番イヤ」と嘆く人も少なくない。

しかし、毎日欠かさずスピーチをする人はいません。
ほとんどの人にとって、スピーチは稀で特別な出来事です。

だから本番に備えてじっくり準備をして、練習を重ねて臨める。
時には何ヶ月も準備できる場合だってある。

しかも、わずか数十秒で終わる。

数十秒ですよ。
1、2、3……と数えているうちに終わってしまうのがスピーチです。

ところが、会話はそうはいきません。

会話は毎日欠かさず起こる。
しかも展開がわからないから練習できず、
しかも数十秒なのか数十分なのか数時間なのか、時間も決まっていない。

しかし、会話の最も大事な、そして最も怖い働きは、
もっとほかのところにあるのです。


●「自分と合うか合わないか」を判断されてしまうのが会話

誰かと会話をしている場面を思い出してください。

「この人とは会話が弾むなあ」
「気持ちよく話せる」
「とっても素敵な時間になる」
「もっとずっと話していたい」

とポジティブな気持ちになることもあれば、

「なんか間が合わなくて、つらい」
「話題がかみ合わない」
「考え方がぜんぜん違う人みたい」
「あ~、沈黙が気まずい……」

とネガティブな気持ちになることもあるでしょう。

相手にとっても同じです。あなたが自分にとって「合う人」なのかどうか、
無意識のうちに会話から読み取っているのです。

スピーチなら、もっと気楽です。

いくら下手なスピーチをしても、
「緊張しているんだな。わかるなあ」と共感してもらえる。

「人前での緊張感」がわかるから、下手でも、間がおかしくても、
引用した具体例がなんか場にそぐわなくても、
その分を差し引いて受け取ってもらえる。

「話し方には“人”が出る」とはいうものの、スピーチならかなり
「甘く見えもらえる」のです。

会話はそうはいきません。
「“人”がそのまま会話に出ている」と判断されてしまいます。
会話が合わなければ「合わない人」と判断されてしまうのです。

スピーチはある意味、遠くから客観的に見てくれます。
ネガティブな愚痴や悪口を連発していたとしても、
「なんだあの人、変わった人だなあ。そういう芸風なのかな」
くらいに距離を置いて見えもらえる。

ちょっと悪ノリした大げさな話し方をしても、
「ちょっと無理してまで、がんばっているんだなあ」
と好意的に受け取られることだってある。

しかし、会話はダイレクトに「“人”が出ている」と判断されます。

会話で悪ノリして悪口を言いまくれば、
「ムリしてがんばっている」ではなく、
「こういう人なのか」「夢中になると悪口の連発なんだ……」
とそのまま受け取られてしまう。

スピーチでがんばりすぎて痛々しい話し方になっても、
友人から「おまえかなり痛かったぞ」とフォローしてもらえるけれど、
会話が“痛い”と、そもそも友人になってもらえない。

スピーチは非日常、会話は日常です。

つまり、会話は「あなたそのもの」です。

現在のあなたの人間関係、仕事で置かれている状況、
プライベートで大切にされているかどうか、
これからの人生が豊かになっていくか下降線をたどるのか、
──すべてが「会話力」によって決まっています。

私たちの人生にとって、かくも「言葉」が大事なんですね。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA