●「論理」は愛の行為
今、ことば学講座で「論理」のトレーニングをしていますね。
なぜあなたに「論理」を身につけてほしいのか。
論理は「愛の行為」だからです。
![](https://hypnos.jp/wp-content/uploads/2020/10/renai3_young.png)
「えっ、論理と愛なんて、一番遠いところにありそう」
という声が聞こえてきそうですね。
確かに、
・理屈抜きに好き
・好きであることに、理由なんてない
・だって好きなんだもん
こういうのが本当の愛なんじゃないの? という感覚があるかもしれません。
しかし、論理と愛の関係は、もっと深いところにあります。
「相手本位なら、論理的になる」のです。
●学校の教科書や新聞は論理が弱いワケ
新聞記事や教科書の文章は、論理が弱い。
読み手に寄り添うスタイルではないからです。
思い出してみてください。あるいは今、新聞を開いてみるとわかりやすい。
「事実の列挙」が多いでしょう。
論理の代表である「根拠」(理由)や、
わかりやすく伝えるための「例示」(具体例)などが少ない。
「雪が80cm積もった」という事実を伝えるとしたら、
「8年ぶりの大雪」「都内でも20cmの積雪」といった事実を並べていく。
80cmの積雪が「20kgのダンベルを持ち続ける負荷に等しい」とか
8年ぶりの大雪だから「つまり○○と同じくらい稀な出来事」
といった解説はほぼ無し。
教科書もそうですね。
「アレクサンドロスが紀元前○○年に誰それを討伐した」と記述し、
その経緯を添える程度。
わかりやすい喩えなどしてくれない。
「これは喩えるなら、差し出されたチーズケーキを
今にも口に入れようとしたところで返せと言われるようなもので、
それを3回も繰り返されたら怒るのも当たり前」
と卑近な例に喩えてくれはしない。
だから新聞も教科書も、
「ほしい情報をがんばって読み取る」姿勢が求められます。
そういう性質の媒体だから、情報の提供側があれこれと工夫したり、
スペースを犠牲にしたりしながら説明を繰り返し、
なんとか納得してもらおう、受け入れてもらおう、
というものではないわけです。
「8年ぶりの大雪」という事実を、「なんとか受け入れてほしい」も
「納得していただけたでしょうか」もありません。
「こういう出来事がありました」と言い放つのみ。
「新聞ってわかりにくい。池上彰の解説はすごくわかりやすいから、
池上彰に新聞を書いてほしい」というコメントがありましたが、
新聞はもともと「情報提供」を目的としているのであって、
「理解」を目的とはしていないのだから、当たり前です。
受け入れてもらおうとも納得させようとも思っていませんからね。
ある意味、「事実は最強」ですね。
●論理は「つながり」だから
しかし、人間関係はそうはいきません。
人それぞれに考え方も立場も視点も違うので、
ある出来事の見方が一人一人違います。
「雨が降っている」という事実は動かしがたいように思えても、
ある人にとっては「また雨か。うんざり」とマイナス情報になり、
別の人にとっては「やった! さっそく昨日買った傘が差せる!」
といううれしい出来事になる。
つまり、人間の数だけ事実があるといえる。
だから「事実は事実」では終わりません。
「事実を伝えればいい」という姿勢ではうまくいきません。
相手に受け入れてほしい、気持ちよく納得してほしい、
良い関係を築きたいと思ったら、つまり「相手本位」の姿勢になったら、
自然に説明の仕方を工夫するでしょう。
そこに「論理」が生まれます。
「論理は愛の行為」とは、そういう意味です。
![](https://hypnos.jp/wp-content/uploads/2020/11/pose_english_why_man.png)
たとえば、「理由を添える」という話し方、書き方の技があります。
理由は、論理の代表です。
なぜ理由を添えるだけで、伝わりやすくなるのか。
「論理的になって、相手に寄り添うスタイル」になるからです。
「論理は愛の行為」とは、そういう意味です。
「論理」を一言でいえば、「言葉のつながり」。
言葉のつながりとは、すなわち意味のつながり、意識のつながりです。
途切れることのない、相手とのコミュニケーションです。
道案内を考えたら、わかりやすい。
相手を、相手との関係を大切に思う気持ちがあれば、
目的地まで途切れない案内をするでしょう。
「そんなの行ってみりゃわかる」
「わかんなかったらよっぽど方向音痴だよ。あはは」
「オレはすぐわかった」
「迷ったら誰かに聞けばいいじゃん」
と突き放したりしないでしょう。
論理とは、理屈っぽく相手を責める姿勢ではありません。
相手に寄り添い、気持ちいいコミュニケーションをするためのものです。
論理力を高めて、コミュニケーションを深めましょうね。
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