●音色塾の教科書です
音色塾(発声と話し方の専門機関)のテキストとなっている本をご紹介しましょう。
「内向型人間が」とタイトルに入っていますが、
内容は「相手にちゃんと届く声の出し方」です。
帯に書いてあるとおりですね。
よく考えてみたら、「声の本」は初めて。
「発声診断士」の立場で書いた初めての「声の本」です。
出版はせずに、オンラインでのレッスンのような形で
発声レッスンの文章をたくさん書いているので、
ぜんぜん初めての気がしませんが……
会場のレッスンに通えなくても、
自宅で共鳴発声法のトレーニングができる内容にまとめました。
会場のレッスンに通う方も、あらためて体系的な知識として
復習に役立つと思います。
「音色塾」にも時々、「とりあえず共鳴発声法をやりたいのですが
今までのレッスンを全部受けないとダメですか」という問合せが届くので、
これからは「この本を読んでください」と言えるのが助かる。
共鳴発声法の入門書、といったところですね。
●「相手にちゃんと届く声」は相手との関係を変える
発声によるコミュニケーションに苦手意識のある方は、
「声でがんばりたくない」と感じているんですよね。
今回の本の担当編集者も、そうでした。
「がんばれば大声が出せないこともないけれど、
そんなガンガン責めるような会話をしたいわけではない」
なにしろ、当初のテーマは「通る声」でした。
「自分自身でも、ガンガンやらずに通る声が出せるようになりたい」と。
「届く声」ではなく、「通る声」。
それが、原稿を書き、話をするうちに、
「大事なのは、通る声ではなくて、届く声なんですね」と理解してくれた。
この違いは大きいんですよね。
いつもレッスンを受けているあなたには
あらためて説明するまでもないでしょう。
「聞こえればいい」わけではない。
「ちょうどよく届く」が大事。
目の前の相手に上投げのボールを投げつけるような会話では、
気持ちいい会話にならない。
目の前なら、下手投げで軽く「ハイっ」と渡す感じがいい。
かといって目の前なのに、ギリギリ届かずに手前にボールが落ちたら、
何か話しかけるたびに「えっ?」「なに?」と聞き返さなければならない。
聞くほうも億劫になるし、聞き返されるほうは責められているように感じる。
だから「ちょうどよく届く」がいい。
ちょうどよく届く声なら、がんばることなく会話が成り立つので、
楽に、無理なく、自然な会話ができるようになります。
●共鳴を集めて声を出してみたら「えっ、こんなに小さい声で?」
この本の第3章に「共鳴を集める方法」のトレーニングが載っています。
共鳴を集めて出す声を練習したら、実地で実験をしてみましょう。
たとえばレストランで、最小限の声量で店員さんを呼んでみてください。
少々ざわついた場所ほど、効果の違いが分かります。
共鳴を集めないで(共鳴発声法ではない声で)出した声は、
声量が小さいと聞こえずに気づいてもらえない。
そのまま声量を上げていけば、
やがて店員さんに気づいてもらえる声にはなりますが、
周囲のお客さんもなぜかこっちを向く。
そこで、共鳴を集めた声を出すと、どうなるか。
やってみてのお楽しみですが、「周囲に違和感を与えることなく、
目的の店員さんにちゃんと気づいてもらえる」声になります。
「えっ、こんなに小さい声で、届いたの!?」と驚くかもしれません。
「ちゃんと届く声が、こんなに楽に出せるの?」と拍子抜けするかも。
ぜひマスターしてくださいね。
もし、トレーニングをしていて、分かりにくいことがあったら、
遠慮なくメールをください。
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