技としての論理を身につけよう

●「インドカレーに限るじゃん」がダメだった理由

仕事でもプライベートでも、他者と関わって良好な人間関係を築くには、
「言葉の能力」が必要です。

といっても、語彙力ではありません。
漢字の知識でもありません。

「ボキャブラリーに乏しいから嫌い」
「あんな漢字も読めないなんて、もう付き合いたくない」
なんてことはありませんよね。

人間関係に──特にマイナスに──影響するのは、

「あの言葉をあんな意味で受け取るなんて悪意があるとしか思えない」
(文脈に対する論理性の欠如)

「平気で嘘をつくから信用できない」(事実に対する虚偽の言論)

「自分勝手で話を聞いてくれない」(対人論理の無視)

このような「論理」に関わる言語能力です。

言葉の能力とは、すなわち目に見えない「論理」を見抜き、
論理を使いこなす能力のこと。

論理とは、言葉と言葉の「つながり」でした。
人と人との関係には、「つながり」を維持する論理が必要です。

論理という「つながり」は、話し手本人の中にもあるし、
「相手と自分」にもあります。

「紅茶って苦手なんだよね。渋いから」

これは本人の中だけの論理的つながりです。
2文目が1文目の「理由」になっています。

これに対して、

Aさん:「紅茶って苦手なんだよね。渋いから」
Bさん:「その渋さがいいんじゃん、紅茶らしくて」

という会話になると、「相手との対人で成り立つ論理」となります。

BさんはAさんの言葉を受けて、論理的つながりを維持していますね。

これがもし、

Aさん:「紅茶って苦手なんだよね。渋いから」
Bさん:「インドカレーに限るじゃん」

こうなったら、二人の論理はつながっていません。

また、二人の論理がつながっているとしても、
論理的な話し方の基本を外してしまうと、うまくいきません。

Aさん:「紅茶って苦手なんだよね。渋いから」
Bさん:「いや、渋くないでしょ」

これはどんな論理の基本を外しているのでしょうか。

気持ちいい人間関係を築くために、
「論理」という言葉の能力を高めていきましょう。
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悪口を言わない人と認定されました

●「悪口を言わない人」認定されました

ちょっと前のことですが、こんなメールが届きました。

先日、同じ課の強い女性の先輩から
「この子(私)は人のことをあんまり(悪く)言わへん」と言われました。
私は悪口を言わない人、と認識されているようです。

自己の成長に向けて一生かけて取り組むこと(トランスとMKCのマインド)
があるので、
私はいつもブレず、心が安定しています。この感覚を幸せだと思います。
ふと空いた時間ができても、「暇つぶし」という概念がないので、
時間の使い方が質的に上がった気がします。

いいですねえ。素敵ですね。

「悪口を言わない人」認定は、極上の認定資格ですよ。

それも、単なる一時の気まぐれではなく、
腰を据えてじっくり取り組んでいる様子が、文面から伝わってきます。

だから、「ちょっとやってみたら、こうなった」程度の変化ではなく、
長い時間をかけて積み重ねていく成果を、じわじわとモノにしていますね。


●起きている間ずっとトレーニング

一時的な気まぐれでは、良いものは育ちません。

「短期集中」という言葉はありますが、
やっぱり短期集中で手に入れたものは、長い目で見ると、
質的にも量的にも「間に合わせ」に過ぎないんですよね。

「暇つぶし」という概念がなく、「起きている間ずっとトレーニング」の感覚なら
積み重ねをじわじわと増やして、本物を着実に育てていきます。

「意識の持ち方が変わったご褒美」とも言えるでしょう。

意識の持ち方、つまり思考パターンは、自分の「土台」です。

武術では上半身より下半身の土台をしっかり鍛えます。
建築物の「基礎工事」のようなものです。
安定した土台ができてこその、「上半身」「上物」「建物」ですからね。

土台ができてくると、周囲の変化に振り回されてブレることなく、
だからこそ安定して柔軟に対応できるようになります。

「振り回されない」と「柔軟に対応」は、矛盾するようで、両立します。

土台があって安定しているからこそ、自分も安心して、確信をもって
合わせたり譲ったり対応を変えたりできるわけです。

それでいて、土台から揺らぐのではなく、形状記憶合金のように
安定感のある上質な構えにすぐに戻れる。

「起きている間ずっとトレーニング」
「あらゆる刺激に対してトレーニングの意識を持つ」

このように意識して、上質な土台を作っていきましょう。

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論理力で仕事がうまくいく理由

●論理的に考えたら、仕事の悩みが減った

あなたの論理力を高めるために、
「ことば学講座」で論理のトレーニングをしていますね。

「論理のレッスンを受講してから、仕事の悩みが減りました」
というご報告をいただきました。

論理力が高まったことで、「相手によって変えなければならない説明の仕方」
が適切に区別できるようになったそうです。

よかったですね。

人をまとめる立場や、指導的立場になったら、
ハイレベルな論理力が必要になります。

「話す力」「聞く力」「書く力」「読む力」を支える大事な能力です。

「論理力」=「言葉を使う能力」

ですね。

論理力が高まると、仕事がうまくいくようになります。

なぜか。

仕事の多くの局面で、言葉を使って論理的におこなう必要があるからです。

なんとなく感覚的に付き合える家族や友人とは違って、
仕事の関係者とは「あうんの呼吸」など通用しません。

「例の件はいい感じだから、その調子でやっといて。よろしく」

上司がこんな非論理的な指示をして、ミスやトラブルが生じたら、
上司のせいです。

「例の」
「いい感じ」
「その調子」
「よろしく」

いずれも論理力の高い人なら引っかかる言葉です。

使ってはいけない言葉、というわけではありませんが、
具体的に何を意味するのかをお互いにわかっている場合にしか使えません。

なのに多くの場合、話し手さえ具体的な内容をわかっているわけではなく、
聞き手は何かを理解したつもりになって「わっかりました~!」などと
安請け合いしてしまう。

だから、指示を人から人へと伝達のリレーをしなければならない仕事で、
行き違いが生じるのも当然です。


●実用的な論理とは

ところで、あなたがトレーニングして仕事や人間関係に役立てるのは、
「論理」であって「論理学」ではありません。

論理学という学問は、もはや数学に近い。

たとえば、

「日曜日には新幹線が込み合います」

という一文を、

「A→B」

と表現するようなもの。

数学の授業で「∴」(ゆえに)なんて記号が出てきたのを
覚えているかもしれませんね。

もちろん抽象化は有効で時に必要なのですが、「極限まで抽象化」すると、
実用から遠ざかって趣味の世界になってしまいます。

言葉のままでしっかり考えて操作するトレーニングが、
実用的な言葉の能力につながります。

これはたとえば、
「人とのコミュニケーションには人間心理を知る必要があるとはいえ、
心理学を修めるのがいいかといえば、そうではない」
というようなもの。

「心理学者の誰それが何年にこれこれという説を発表した」
「誰それの○派と誰それの△派に分かれた」
みたいな心理学の基礎は、専門家やマニアがやればいい。

パソコンを使いこなすために、コンピューターの成り立ちから学ぶのは
あまりに余計ですね。

論理学にもそういう部分が多々あるので、好きならやってもいいのですが、
実用的な言葉の能力を高めるには、「言語学的な視点から論理をトレーニング」
するほうがいい。

「目的」は論理そのものではなく、コミュニケーションや人間関係ですから。

あなたには「コミュニケーション能力を高める論理」を
マスターするレッスンをしますからね。

それが心理言語学に基づく、実用的な論理力トレーニングです。

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論理力が人間関係を救った話

●「まだ始めてないってことは、やる気ないんじゃん」

今、「論理力」を高めるレッスンをしていますね。

「ことば学講座」です。

論理力が高まると、決して理屈っぽくなるわけではなく、
他者との関係が良好になります。

論理とは「言葉のつながり」であり、
気持ちいいつながりが気持ちいいコミュニケーションになるからです。

たとえば、

「まだ始めてないってことは、やる気ないんじゃん」

と上司から叱られたら、どう感じ、どう返しますか?

この言い方は論理が「気持ちいいつながり」になっていないので、
「なんだか強引」「一方的な決めつけ」のように感じるでしょう。

たとえそれが論理のせいとは気づかなくても、感じますよね。

このとき、論理力の無い人は、「一方的な決めつけ」に対して
同レベルの返し方や感じ方しかできません。

「そんなことないですよ。なんでそんなふうに決めつけるんですか」
という具合に。

「どっちもどっち」の幼稚な応酬になってしまいます。

論理力を身につけた人は、
「まだ始めてないってことは、やる気ないんじゃん」
の論理が飛躍していることに気づくだけでなく、
「実は相手の中ではつながっている論理」にも気づきます。

だから一方的に「論理が飛躍している」と主張するのではなく、
「相手の中ではつながっていても、事実とは異なる」部分に言及して
上司を納得させることができます。

おわかりでしょうか。
「論理」の印象とは正反対かもしれませんね。

「それは論理的ではない」「論理が破綻している」と主張して
相手の言葉を否定しようとするのは、論理的な人ではなく、
論理力が低い人です。

あなたは本当の意味で論理力が高い人になってください。

こんな報告メールもいただきました。

論理が破綻している会話に気づけるようになってきました。
職場で、後輩の即刻辞職を回避できたので報告します。

詳細は省略しますが、論理力が高まると人間関係を救うことができます。

この方は、決して「あなた達の言っていることは論理的ではない」
のような言い方で口をはさんだわけではありません。

話し合いを傍で聞いていて、論理的に噛み合っていないことに気づき、
話し合いが前向きに進む方向に促したのです。


●誰とでもやり取りできるのが論理

以前にこんなメールが届きました。

レッスンを受けて内面のトレーニングを積んでいる人とは
気持ちいい会話ができて関係も気持ちいいのですが、
職場にはそういう人が少ないので、他人を攻撃したり
陰口や噂話で盛り上がったりする人が多くて困ります。

似た内容のメールはほかにもいただいています。
そこですよね。

あなたはこうしてずっとレッスンを受けているので、
日に日に、年々、内面の深いところから変化して、
良いものを積み重ねています。

しかし、世の中のすべての人がそういうわけではない。
しかも、「この人とは関わりたくない」と
避けられるケースばかりではない。

あなたが「人の悪口は言いたくない」と思っていても、
同僚は「どうして? こっちが悪く言われるくらいなら、
逆に悪口を言いふらして攻撃してやればいいじゃん。
攻撃は最大の防御だよ」とまったく悪びれないかもしれない。

実際、そういうタイプは少なくないですよね。

だから、深い部分では相容れないかもしれない。
でも一緒に働くからには、良い仕事をしたい。

そんなときに威力を発揮するのが「論理力」です。

論理力が高まると、「この人とは合わない」ではなく
「どの部分で関わったらいいか」がちゃんと見えて、
言葉を使ってコミュニケーションをすることができます。

まるで違う価値観や感受性を持った人とでも、
論理によってコミュニケーションを噛み合わせることができるのです。

そんな境地を、あなたはまもなく体験しますよ。

論理力を高めましょう。

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論理が愛を育むのはなぜか

●「論理」のおかげでつながりが強靭になる

「論理は愛の行為」というメカニズム、
しっかりあなたの中で理解できましたか?

論理は愛を育みます。
論理が仕事の関係を育てます。

このメカニズムを、さらにしっかり理解しましょう。

・なぜ「論理」が弱い人の人間関係は、脆いのか。
・「論理」が甘い人は、なぜ人間関係が長続きしないのか。

「論理」は言葉のつながりです。
だから、言葉の「構造」を作ります。

レンガを積んで建物を作っていくようなものですね。
レンガの積み方が「論理」です。

それだけではありません。
論理は「つながり」ですから、
レンガを互いにくっつける「モルタル」の働きもしています。

前回、

・理屈抜きに好き
・好きであることに、理由なんてない
・だって好きなんだもん

こういうのが本当の愛なんじゃないの? という感覚があるかもしれません。

こんな例を挙げました。

「理屈抜き」「理由はない」は、「モルタルがない」状態です。
レンガをただ積み木のように積んだだけの状態。

何かあればすべてが崩れ落ちます。

人間関係でいえば、「別れ」「離婚」「関係の自然消滅」などですね。

「なんとなく」存在するものは、「なんとなく」消滅します。

こんなメールが届きました。

わたしも昔は「理屈抜きに好き」で良いと思っていたんです。
でも、今は違います。

それは論理がないと好きでい続けることが難しいから。
「理由なんてない」というのは、じつはすごく不安定なんですよね。

すばらしい。論理の本当のパワーをよくご存じですね。
「理由なんて無い」は不安定で、当てになりません。

適切な方法で言語化し、論理を使いこなせば、積み重ねになっていきます。

さらに続けて引用します。

論理は言葉でもあるので、心だけでなく言葉でも自分が納得できていないと
拠り所になるものがないので、ある日突然キライになってしまう可能性も
あると思うからです。

その点、論理的に好きな理由をわかっていれば
確実に意識の中で自分の意志、気持ちとして確認ができます。

これは、理由がないという形の無い状態に比べたら
「言葉として存在している」という意味で圧倒的な存在感を感じるんですよね。

まさにそのとおりですね。

私たちはこれほどまでに、言葉と共にあります。

「理由? そんなの無い」「なんとなく~」では、
最初のうちは良いとしても、あやふやすぎて、信頼感がない。

だから長続きしないし、すぐに壊れる。
「安定して育てていける、大人の関係」ではありませんよね。

言葉によって、論理によってこそ、関係が強固なものとなっていきます。
人間関係も、仕事も、そう。

私たちはホモサピエンスであり、サピエンスとは「知っている」。
イタリア語「sapere」(知っている)をご存知かもしれません。

「知恵あるヒト」などと訳されますが、
中身がわかるように言えば、「論理構造がわかる存在」という意味です。

ヒト以外に、論理構造がわかる存在はいません。
論理構造がわかる存在となら、まともに付き合えます。

犬や猫や鳥や虫は論理構造がわかりません。
だから、言葉らしきものを話すオウムや九官鳥に対しても、
仕事の相談をする人はいません。

「論理」がわかる相手なら、「まともに付き合える」と感じます。

「論理」がわからない相手とは、「それなりの付き合いしかできない」。
あるいは、「不可解」「怖い」。

これは「ホモサピエンスとしての本能」といえるでしょう。

言語コミュニケーションの基礎である「論理」は
しっかり押さえて身につけておきましょう。

丁寧にレッスンしますからね。

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論理はなぜ愛の行為なのか

●「論理」は愛の行為

今、ことば学講座で「論理」のトレーニングをしていますね。

なぜあなたに「論理」を身につけてほしいのか。

論理は「愛の行為」だからです。

「えっ、論理と愛なんて、一番遠いところにありそう」
という声が聞こえてきそうですね。

確かに、

・理屈抜きに好き
・好きであることに、理由なんてない
・だって好きなんだもん

こういうのが本当の愛なんじゃないの? という感覚があるかもしれません。

しかし、論理と愛の関係は、もっと深いところにあります。

「相手本位なら、論理的になる」のです。


●学校の教科書や新聞は論理が弱いワケ

新聞記事や教科書の文章は、論理が弱い。

読み手に寄り添うスタイルではないからです。

思い出してみてください。あるいは今、新聞を開いてみるとわかりやすい。

「事実の列挙」が多いでしょう。

論理の代表である「根拠」(理由)や、
わかりやすく伝えるための「例示」(具体例)などが少ない。

「雪が80cm積もった」という事実を伝えるとしたら、
「8年ぶりの大雪」「都内でも20cmの積雪」といった事実を並べていく。

80cmの積雪が「20kgのダンベルを持ち続ける負荷に等しい」とか
8年ぶりの大雪だから「つまり○○と同じくらい稀な出来事」
といった解説はほぼ無し。

教科書もそうですね。

「アレクサンドロスが紀元前○○年に誰それを討伐した」と記述し、
その経緯を添える程度。

わかりやすい喩えなどしてくれない。

「これは喩えるなら、差し出されたチーズケーキを
今にも口に入れようとしたところで返せと言われるようなもので、
それを3回も繰り返されたら怒るのも当たり前」
と卑近な例に喩えてくれはしない。

だから新聞も教科書も、
「ほしい情報をがんばって読み取る」姿勢が求められます。

そういう性質の媒体だから、情報の提供側があれこれと工夫したり、
スペースを犠牲にしたりしながら説明を繰り返し、
なんとか納得してもらおう、受け入れてもらおう、
というものではないわけです。

「8年ぶりの大雪」という事実を、「なんとか受け入れてほしい」も
「納得していただけたでしょうか」もありません。

「こういう出来事がありました」と言い放つのみ。

「新聞ってわかりにくい。池上彰の解説はすごくわかりやすいから、
池上彰に新聞を書いてほしい」というコメントがありましたが、
新聞はもともと「情報提供」を目的としているのであって、
「理解」を目的とはしていないのだから、当たり前です。

受け入れてもらおうとも納得させようとも思っていませんからね。

ある意味、「事実は最強」ですね。


●論理は「つながり」だから

しかし、人間関係はそうはいきません。

人それぞれに考え方も立場も視点も違うので、
ある出来事の見方が一人一人違います。

「雨が降っている」という事実は動かしがたいように思えても、
ある人にとっては「また雨か。うんざり」とマイナス情報になり、
別の人にとっては「やった! さっそく昨日買った傘が差せる!」
といううれしい出来事になる。

つまり、人間の数だけ事実があるといえる。

だから「事実は事実」では終わりません。
「事実を伝えればいい」という姿勢ではうまくいきません。

相手に受け入れてほしい、気持ちよく納得してほしい、
良い関係を築きたいと思ったら、つまり「相手本位」の姿勢になったら、
自然に説明の仕方を工夫するでしょう。

そこに「論理」が生まれます。
「論理は愛の行為」とは、そういう意味です。

たとえば、「理由を添える」という話し方、書き方の技があります。
理由は、論理の代表です。

なぜ理由を添えるだけで、伝わりやすくなるのか。

「論理的になって、相手に寄り添うスタイル」になるからです。
「論理は愛の行為」とは、そういう意味です。

「論理」を一言でいえば、「言葉のつながり」。
言葉のつながりとは、すなわち意味のつながり、意識のつながりです。

途切れることのない、相手とのコミュニケーションです。

道案内を考えたら、わかりやすい。

相手を、相手との関係を大切に思う気持ちがあれば、
目的地まで途切れない案内をするでしょう。

「そんなの行ってみりゃわかる」
「わかんなかったらよっぽど方向音痴だよ。あはは」
「オレはすぐわかった」
「迷ったら誰かに聞けばいいじゃん」

と突き放したりしないでしょう。

論理とは、理屈っぽく相手を責める姿勢ではありません。
相手に寄り添い、気持ちいいコミュニケーションをするためのものです。

論理力を高めて、コミュニケーションを深めましょうね。

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見えなかったものが見えるようになるレッスン

●「どうしたらできるか」のトレーニング

今、新潟は大雪です。
窓の外に雪が積もって、外が見えないくらい。

電車やバスが止まったり、道路が渋滞しているどころか、
立往生の車で完全にふさがったり、
新潟市の混乱ぶりは、もはや災害レベルです。

スタッフからは、

「雪で交通が麻痺しています」
「今日は来ないでください」「駐車場にも入れませんから」
「家から出ないほうがいいですよ」

といった連絡が続々と入ってくるのですが、
明日は東京会場の「ことば学講座」なので、
ずっと動かないわけにもいきません。

新幹線は動くでしょうから、今日のうちに新潟駅近くのホテルに泊まれば、
明日は確実に東京行きの新幹線に乗れるかと予想して、
手配をしているところです。

こういうのはまさに「どうしたらできるか」のトレーニングになりますね。


●あなたはどんな「言葉の世界」に生きていますか?

私たちは言葉を使って生きています。

「言葉の世界に生きている」ともいえる。

使う言葉によって、住んでいる世界が変わる、ということです。

同じ場所にいて、同じ物を見ていても、
頭の中に浮かぶ言葉が違えば、生きている世界が違う。

駅前の植え込みを見て、

「冬なのに植物が豊富で気持ちいい」と思う人もいれば、
「はっきり言って税金の無駄遣い」としか思わない人もいる。

この両者はまったく違う世界に住んでいると言っていい。

両方を思いつく人もいるけれど、比重は一人一人違う。
みんな住んでいる世界が違うといえる。

価値観や立場の違いだから
「どちらが良い、どちらが悪い」とは言い切れないまでも
「違う」のは確かでしょう。

あなたはどんな「言葉の世界」に生きていますか?


●論理が成立した会話、破綻した会話

私たちは言葉の世界に生きている。

そして、言葉は「論理」です。

本来は。

しかし、論理に乏しい言葉の使い方もあります。

使い方を覚えないと、言葉を論理的に使うことができません。

言葉を論理的に使うとは、どういうことか。

「積み重ねられる使い方」です。

わかりやすい例を挙げましょう。AさんとBさんの会話です。

【会話例1】
A:お腹すいたなあ。
B:何か食べに行こうか。
A:天丼が食べたい。
B:駅前の蕎麦屋で食べられるかも。
A:電車に乗ればすぐだね。
B:よし行こう。

意識せずにポンポンとしゃべっていますが、
分析するとしっかりと論理の積み重ねで会話が進んでいます。

積み重ねとは、「前回ここまでやったから、今回はここから」のように
作業の積み重ねができる、ということ。

人が入れ替わっても世代が交代しても、仕事が生きていく。

このタイプは、仕事を成長させ、進めていくことができるので、
仕事がうまくいきます。

リーダーに抜擢されて成功したり、頼れる部下として信頼されたりするのは
このような「論理の積み重ね」ができるタイプ。

では、次の例はどうでしょうか。

【会話例2】
A:お腹すいたなあ。
B:何か食べに行こうか。
A:ってゆうかさ、最近やけに残業多くない?
B:ん? まあね。この時期だからでしょ。
A:あ、雪……寒いと思ったら!
B:また降ってきたか。
A:この間なんて、郵便局でさあ──

会話になっているようには見えますが、論理の積み重ねになっていない。

Bさんは論理の積み重ねをしようとしているのに、
Aさんは「論理のつながり」を無視したコミュニケーションをしている。

だから、何時間おしゃべりしても、次へとつながる積み重ねにならない。

「前回ここまでやったから、今回は──」にならない。
積み重ねもへったくれもない。

でも、ありがちですね。


●見えなかったものが見えるようになる

「論理力」を高めると、言葉という目に見えないものを適切に操り、
論を積み重ね、関係を積み重ね、仕事を積み重ねていけるようになります。

行き当たりばったりの感覚まかせではなく、着実な前進を積み重ねていける。

「論理」が成立した会話と、破綻した会話が「自覚」できるようになる。

今まで見えなかったものが、見えるようになる、ということです。

論理力が高い人は、ふとした会話の中に、論理が見える。
論理力が低い人は、ただ言葉が飛び交っているだけに思える。

先ほどの【会話例2】を見て、
「でも会話ってこんなもんじゃない?」と感じる人もいます。
「会話の中にある論理が見えていない」からです。

会話の中にある論理が見えている人は、
【会話例1】に接すると「ちゃんと成り立っている会話だな」と感じ、
【会話例2】に接すると「めちゃめちゃだ、この会話」と感じます。

見える人には見える。見えない人には見えない。
それが論理です。

論理力を高めて、「積み重ね」ができる言葉を使いましょう。
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間を合わせると仲良くなれる

●待ってました、間のレッスン

「ことば学講座」で「間」(ま)を取り上げると予告したら、
何人もの受講者からメールをいただきました。

「待ってました! 私のためのレッスンです。間には苦手意識が……」
「以前に習ったのに実践できていないので、しっかり勉強します」
「間は時間的な間だけではない、というお話、多分わかります」

みなさん間の重要性をもうご存じなんですね。すばらしい。

しかも、難しさも知っている。

単に思わせぶりに黙ればいいわけではないと、知っている。

なのに、うまくいかない。

でしょう?

「自分の講座をスタートしたので、今まで以上にしっかり取り組みます。
これからもよろしくお願いします」

その姿勢、いいですね。「始まってからが本番」をしっかり理解し、
実践していますね。

むしろこれからやっと、トレーニングの重要性が本当に理解できます。

そういうものなんですよね。
今まで真剣にレッスンを受けてきたとしても、渦中の人となってはじめて、
「あ、これのことだったんだ」と飲み込める。

もちろん、真剣にレッスンを受けてきたからこそ、土台ができていて、
気づくことができた、ということなんですけれどね。

「昨日よりもっと、去年よりもっと」と、
レッスンに取り組む意識を高めていきましょう。

まだ次回の「ことば学講座」まで1週間ほどあるので、
軽く予習をしておきましょうか。

「間」への意識を高めていてください。

「おかしな間」の例をいくつか挙げていきますね。


●リアクションに困る沈黙&アイコンタクト

まずは、する側もされる側も「間の技法」を身につけて、
気持ちいいコミュニケーションができるようになるといいケース。

それが「意図が不明な沈黙&アイコンタクト」です。

比較的近い距離で正面で向き合って会話をしているときに生じやすい。

話が一通り終わって一段落したはずのタイミングで、
次のリアクションを待つかのように黙ったまま長いアイコンタクトをされて、
困惑した経験は誰にもあるでしょう。

リアクションに困る、気まずい間ですね。

しかもアイコンタクトがあるから、なおさら困惑。

「ではまた次回」といった台詞とともにお開きに向かうはずのタイミングで、
向かわないんですよね。

話し手としては「これでおしまい」と思っているのに、
相手が終わらせてくれない。

聞き手としては、会話を終わらせるのは失礼かと思って、
明確な終了の意思表示をしてくれるまでは「聞く気満々」の姿勢でいる。

ここに気まずい間が生じます。

特にホームにいる側(相手を迎えた側)が困惑しやすい。

訪ねていった側なら、気まずい間になっても、
「それではそろそろ」「今日はありがとうございました」
と退去の言葉を口にして流れを変えることができます。

しかし、迎えた側は「もう帰って」と言いづらい。

だからこそ、昔から「長っ尻」(ながっちり)が嫌がられたんですね。

気まずい間が嫌で、つい余計な言葉を発してしまうから、さらに長引く。

そんなデリケートな状況で起こる、気まずい間には、
どう対処したらいいのか。

間が合わないと、馬が合わない。
このままでは仲良くなれません。

間が合えば、もっと仲良くなれる。
そのためのレッスンです。

間は魔に通ず──気まずさ、居心地の悪さは、
まさに魔境に落ちた瞬間です。

魔境に落ちないように、間のトレーニングをしましょうね。

* * *

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言葉だけでは恋に落ちない理由

●言葉で動かされるのは快感

さて、そろそろ「間」をコントロールする技を会得しましょう。

「ことば学講座」です。

https://wsi-net.org/kotoba.html (ことば学講座)

「言葉で人を動かす」とは、よく耳にするフレーズですね。

確かに、感動したり驚いたりしたくて本を読んだり、
店のことを知りたくてウェブサイトや広告を読んだりする行動からも、
私たち人間というものは、「言葉で動かされたい存在」なのだとわかります。

『人を動かす』というデール・カーネギーの名著もありますね。

中には、

「人を動かす文章とか、言葉で人を動かすとか、
他人を口先で操るようで、不遜ではないか」

などと話す人もいて、なるほど言葉も道具だから
そんな一面もあるかと思いたくもなりますが、
まあしかし一面的で視野の狭い見方ではあります。

「私たちは言葉で動かされたい存在」と、覚えておいていいでしょう。

大好きな趣味に没頭したり、音楽を聴いてゾクゾクと鳥肌が立ったり、
あのカレーをどうしても食べたくなって食べたりと、
「動かされる」ってすごく気持ちいいんですよね。

この性質は私たちの本質の一つです。

だったら、気持ちよく動かす言葉の力を駆使したい。

そのためのレッスンが「ことば学講座」ですから、
しっかり身につけてくださいね。

ただし、「人を動かす言葉」が単独で存在するのではありません。
「人を動かす言葉」の辞書なんか作れません。

言葉の命は「間」(ま)にあります。

「間」が言葉に命を吹き込むのです。


●言葉だけでは恋に落ちない

言葉を聞いて、ドキドキする。

言葉に感動する。

妙に印象に残ったフレーズがある。

──こんな体験は誰にでもあるでしょう。

しかし、こうイメージしてみてください。

ドキッとしたあの一言が、ジーンと心に響いたあの言葉が、
別の言い方で言われたら、どうだったか。

早口で間を置かない、立て板に水のごときしゃべり方で
バーッと語られたら、同じようにドキドキし、感動し、印象に残ったか。

きっと、違うでしょう。

文字にしてみれば、同じ言葉がちゃんとそこにあるはずです。

なのに、効き目が違う。

言葉は、足し算ではありません。

「熱があるから解熱剤を出しましょう。
胃が荒れるから胃薬も出しておきます。
もし痛みが引かなかったらこの痛み止めを──」

のような、足し算の効果を「言葉」に期待することはできません。

「ちゃんと謝ったじゃないか」と本人は思っていても、
ついでに余計な一言を付け加えてしまったら、謝ったことになりません。

最も辟易する(嫌気がさす)話し方は、どんな話し方ですか?

「早口で間を置かずにしゃべり続ける、
いつ終わるかわからない自分語り」ではありませんか?

そんな話し方の中には、あふれるほどの言葉があるはずです。
もしかしたら、興味深い言葉も少しは含まれているかもしれない。

なのに、話し方を誤ると、効き目がないどころか、
強烈なマイナス影響を与えてしまいます。

ある時、間(ま)の大切さについてレッスンをしたら、
「私がモテない理由がよくわかりました」と話していた方がいます。

言葉だけでは、恋に落ちないんですよね。

「言葉だけではない」といっても、「見た目が肝心」「行動が大事」
といった話ではありませんよ。

その言葉を、どんなふうに話すかで、効き目が決まるのです。

それが「間の力」です。


●意識の間までマスターしよう

ふだんから間(ま)を意識しながら生活していますか?

「Yes」と答える人は少ないでしょう。
「Yes」だとしても、それで十分とは限りません。
間は無意識レベルに入らないと、本当の効果を発揮しないからです。

間には「時間的な間」と「空間的な間」があって、
しかも相関関係があります。

さらには「意識の間」まで扱えたら、もう間の達人です。

「間の取り方」というと、「朗読をするとき、読点で何秒、
句点で何秒休むのがいいか」くらいの意味に捉えるのが一般的でしょう。

しかし、そんな単純なものではないと、あなたはもう感じているでしょうね。

「言葉と言葉の間に時間的な空白を入れる」のは最も基本的な「間」で、
もちろんこの「時間的な間」は押さえておきますが、
あなたには「間」を体現できるレベルにまでなっていただきますから、
そのつもりでいてください。

間の話、またしましょうね。

・間は魔に通ずと言われる理由
・「もったいない話し方」を卒業できる間の置き方
・あなたの間はなぜ気まずいのか
・何秒あければ「間」になるか
・講師や演奏家なら知っておきたい、聞き手を異空間に引き込む間のテクニック

* * *

【レッスンメニューのご案内】

  1. 共鳴発声法で楽に無理なく話せるようになりたい……声のサロン
  2. 人間関係を日に日に好転させて豊かな人生を生きたい……どんどん良くなるレッスン
  3. 言葉、意識、身体の使い方をマスターするレッスン……オンラインことば学講座

何かがうまくいかないとき、苦しくなったとき、MKCカウンセリングはあなたの味方です。


余裕がある人になる方法

●次回のことば学講座は「余裕がある人」

次回のテーマは「余裕がある人になる方法」です。

「どんな人になりたいですか」
「どんな人に憧れますか」
「どんな上司の下で働きたいですか」

こんな調査結果の上位(時にはトップ)に必ず入っているのが、
「余裕がある人」。

余裕がある人は、イイですね。無条件に、イイ。

では、どんな人が「余裕がある」のでしょうか。


●「そりゃお金と時間に余裕があればね」

「お金と時間に余裕があれば、自然に余裕のある人になる」

そう考える人が多いようです。

たしかに、お金のやりくりがうまくいくか心配でびくびくしたり、
忙しくてイライラしたりするのだから、わかりやすい。

でも、お金があっても不安な人、暇はあっても落ち着かない人を、
私はクライアントに大勢見てきました。

逆に、お金の収支はカツカツでも、毎日仕事で駆け回っていても、
余裕がある人は余裕がある。

つまり、お金が足りなくてびくびくする人が、
今月はやりくりが上手にできて気持ちが落ち着いているとしたら、
それは「余裕がある人になった」のではなく、
「余裕ない人が、お金のおかげで一時的に落ち着いている」だけ。

「痛み止めで症状を抑えているだけで、骨は折れている」ようなもの。

問題が解決したわけではないし、
何かあればまた落ち着かない不安な状態に逆戻り。

つまり、お金も時間も、
「余裕がある人とない人の違い」をあぶり出すきっかけのひとつであって、
余裕がある人の条件ではない、ということです。

では、余裕がある人の条件とは、何なのでしょうか。


●どんな言葉が出てくるか

余裕があるかどうかは、「中にある言葉」で決まります。

何かを見聞きしたり、何かの状況に置かれたりしたときに、
自然に出てくる「反応」が違う。

「余裕がある人は、余裕のある言葉を持っている」のです。

余裕がある人は、安心感があります。

余裕がある人は、素敵です。

次回のことば学講座で、「余裕がある人」の言葉トレーニングをしましょう。

「痛み止めで症状を抑えているだけで、骨は折れている」状態から、
「骨が治った」状態にしますよ。

その言葉、こう言い換えるだけで、余裕のある人になる。
   ↓
http://wsi-net.org/kotoba.html (ことば学講座)

* * *

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