答えは場にあり──会話の極意

●答えは場にあり

新潟でハロウィン仮装アフタヌーンティーがあり、
私も忍者の仮装をして参加しました。

かなり派手な忍者になってしまい、
光GENJI──と書くんだったかな──みたいと呆れられていました。

生まれて初めて地下足袋というものを履きましたが、
なかなかイイですね、地下足袋。
昔から長く愛用されている理由がわかった気がします。

その会で「怖い話語り部」コーナーがあって、
語り部として出演した方が、
「話し方って一つじゃないんだとわかりました」と話していました。

いいですねえ。大事なことに気づきましたね。
まさにそのとおり、「答えは場にあり」です。

知識として知ってはいても、実際に話す場に身を置くと
「こういうことなのか」と強く実感するでしょう?

「場」とはすなわち「相手」です。
「答えは相手にあり」ともいえる。

場が、相手が、みんなそれぞれに違う以上、
最適な答えもそれぞれに違う、ということになります。

だから、「書いて練習した原稿のとおりにただ再現するだけ」では
スピーチもうまくいきません。

難しい技術ではありますが、聞き手の反応によって
「変化に対応できる」必要がある。

では、「変化に対応できる」ようになるには、
どうしたらいいのでしょうか。


●場は毎回違うからこそ練習する

答えは、「練習」です。「トレーニング」です。

野球選手もサッカー選手も、練習した者勝ちですよね。
優れたスポーツ選手ほど「練習は裏切らない」と言います。

飛んでくるボールの速さや角度や回転に、
厳密にいえば、二度と同じものはない。

敵や味方の選手との位置関係だって、厳密にいえば、
まったく同じ状況は二度と起こらない。

つまり、「場」が毎回違うわけです。

だからこそ、どれだけ「練習」したかが問われます。
変化に対応できるのは、フォームがしっかり身についているからこそ。

基礎が身についているから、相手が変わってもしゃべれるわけです。

文章も会話も話し方も、基本を学んだら、あとは練習。
それも「基本を外さないように練習」することが肝心です。

あらゆるスポーツにも武道にも「型」がある理由ですね。

「飛んでくるボールは毎回違うのだから、
練習したって意味がない」なんて選手は、選手でいられません。

まずは基本を学んだら、あとはしっかりたっぷり練習しましょう。
頭で考えなくても体が型に従うようになった頃、
イレギュラーな状況にもスッと対応できる自分になっています。

「会話」の基本を身につけましょう。

* * *

【レッスンメニューのご案内】

  1. 共鳴発声法で楽に無理なく話せるようになりたい
  2. 人間関係を日に日に好転させて豊かな人生を生きたい
  3. 言葉、意識、身体の使い方をマスターするレッスン

何かがうまくいかないとき、苦しくなったとき、MKCカウンセリングはあなたの味方です。

声で気持ちよくさせる会話とは

●楽に出ている声で会話をすると、相手はきもちいい

来月末の「秋の講座」に向けて、
ここしばらく「会話」を取り上げていますね。

素敵な人間関係を目指すあなたが、
なぜ「会話」のトレーニングをしたほうがいいのか、
理由はもうわかりましたか?

MKCレッスンの一部ですから、
「他人に説明できるように」なっていてください。

「説明」は潜在意識と顕在意識をつなぐ行為として、
すごく大事です。

実際に誰かに説明する必要はありません。
MKCレッスンはあなただけの特別なレッスンですから、
誰かに勧めたり説明したりする必要はない。

運よく縁があれば、そして「その時」が来れば、
いつかちゃんとMKCと出会いますから、勧めなくていいのです。

ですから、実際に誰かに説明するわけではありませんが、
あなた自身のトレーニングとして、
「説明しようと思えば説明できる」状態がプラスになります。

なぜあなたは、「会話」のトレーニングをしたほうが良いのですか?


●相手を気持ちよくさせる会話、不快にさせる会話

理由はいくつか異なる方向から説明できます。
ひとつの山頂に至るにも、複数のルートがあるように。

今日は「相手を気持ちよくさせる会話」というルートから
お話ししましょう。

おなじみ、「声」の話です。

こんなメールが届きました。

職場の同僚とランチしていて言われました。
「楽に声が出ている感じで聞きやすい」と。

すばらしい。その同僚とは、うまくいきますよ。

「声が楽に出る」のは、共鳴発声法に顕著な特徴です。
丁寧にトレーニングしていますね。

楽に出ている声は、聞き手にとって「気持ちいい声」。

強く押したり、がんばって張り上げたり、
低くうなったりする声は、聞き手にとって不快な声です。

音と匂いは無意識領域に侵入して、生理的な反応を引き起こします。

「あ、この音、好き」「この匂いキライ」と意識に上る場合もあれば、
上らない場合もありますが、どっちにせよ無意識下で作用して
快不快を引き起こすのです。

同僚から「声が楽に出ている感じで聞きやすい」と言われたのであれば、
意識に上ったわけだから、わかりやすくて助かりますね。

その同僚とは、良い関係を築いて長いお付き合いができるはず。

同じく目に見えない匂いに比べても、声は意識に上りにくいので、
よほど声の意識が高いか、耳が良い人なのでしょう。

たとえ意識に上らなくても、無意識下であなたの声から快を受け取り、
ちゃんとうまくいくんですけれどね。


●逆の声でランチをしたら

怖いのは、共鳴発声法ではない声で
ランチの間ずっとしゃべってしまった場合です。

自分から積極的に話題を提供しても、がんばってニコニコしていても、
丁寧で感じのいい言葉遣いの努力をしても、
その努力が報われないのだから、怖い。

せっかくのデートでも、仲良くなりたくて、良い雰囲気にしたくて、
しゃべればしゃべるほど、裏目に出てしまう。

「会話は声だけじゃないと思うんですけど、
本当に声だけでモテたり嫌われたりするんですか」
と質問されたことがあります。

たしかに、「声」は「会話」を構成する要素のひとつに過ぎませんが、
しかし非常に重要な要素です。

ほかにも、語彙や話題や言葉遣いやビジュアルや相づちや
座るポジショニングやアイコンタクト等など、
大事な要素が会話レッスンには出てきます。

そんな中でも「声」は、特に大事。
楽器でいえば、「どんな音が出るか」ですから、
演奏の大半が決まってしまうのは当然です。

どんなにイイ色のバイオリンでも、演奏する姿がどんなに格好よくても、
選曲が絶妙でも、服の仕立てが最高でも、笑顔がまぶしくても、
伴奏者(つまり周囲のサポート)がすばらしくても、
出る音が「ガリガリ」だったら、カバーは不可能。

会話にとって、「声」はそういう要素です。

共鳴発声法で話し続けるトレーニングを始めますよ。
会話はあなたを救います。

今日は会話の「声」についてお話ししました。

* * *

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誰に向かって話すか(ブログ等で情報発信をしている方へ)

●仕事のブログを書いている場合

受付開始のご連絡だけというのもナンなので、
ついでにちょっとしたミニレッスンをしましょう。

ブログやSNSなどで情報発信をしている方から、
「アクセス数が増えない」
「アクセス数が増えてきたけれど、仕事の申込みが来ない」
といった悩みが届くことがあります。

悩んでもしょうがない悩み方をしていたらお気の毒なので、
「言葉の使い方」に絡むミニレッスンをお届けしますね。

まず、ブログ等のアクセス解析が出す「アクセス数」は、
非常に不正確で当てになりません。

何年も書き続けている方なら、感覚的に「おかしい」と
わかる経験が何度もあるでしょう。

「毎日300人が来てくれているはずなのに──」と
具体的な数字を挙げて現状を聞かせてくれる方もいますが、
300人が丸ごと来ているわけではありません。

ブログ会社によってバラつきがあって、
ほぼ正確な数字に近いかな、という会社もあれば、
「10分の1ぐらいに差し引いて考えたほうがいいな」
と思えるような会社もあります。

なぜアクセス解析の数字が不正確なのか、
理由はいくつかありますが、「人間ではなくプログラムが
勝手に訪問している回数をカウントしてしまう」という理由は
知っていましたか?

ネットの情報を集めるプログラムがネット上を走っていて、
だからあなたのブログの情報も集めに来ていて、
しかしそこに人間はいないから単に通り過ぎていくだけで、
なのに訪問者数としてカウントされてしまう、といったことです。

そんなアクセス解析では正確な計測ができないので、
各社はがんばってプログラムのカウントを除去しようとしますが、
すべてがうまくいくわけではなく、そのせいで不正確な数字になります。

ほかにも、私にはうまく説明できないような技術的な要因によって、
「興味を持った人がサイトを訪れる」という有効な人数以外の
無意味なカウントが含まれてしまうケースが多々あるそうです。

だから、「アクセス数」はあまり気にしないほうがいい。
私もまったく気にしていません。


●気にかけるべき大切な相手は

いみじくも「アクセス数が増えてきたけれど、仕事の申込みが来ない」
と書いてくれたように、肝心なのは「反応」ですよね。

つまり「意味のあるアクセス」です。

何かの教室に人を呼ぶためにブログを書き始めたとして、
訪問者が一日千人を超えたとして、
教室に一人も来なかったら、目的を達していないブログです。

お友達や知り合いがわいわい集まって盛り上がっているとしても、
毎日何かのコメントを残してくれるとしても、
「現地に足を運んでくれる」「しかもお金を出してまで」という人は
本当に特別な存在です。

毎日あなたのブログを訪れているのが30人でも100人でも、
メッセージを受け取ってくれて、反応してくれているのが1人だとしたら、
あなたが大切にすべきは、気にかけるべきは、その1人です。

そもそもアクセス数は不正確で当てにならず、
仮に正確だったとしても、訪問者みんながまともに
メッセージを受け取っているわけではない。

ちゃんと読んでいるのかもわからない、
何かを感じてくれているのかもわからない、
まして仕事の申込みをしてくれるわけでもないアクセスを
どうして気にして悩む必要などありましょうか。

「アクセス数を増やそう」などと気にすることなく、
本当に大切なメッセージを、大切な相手に向けて書いてあげてください。

そうすれば、あなたのブログは素敵なメディアになるはずです。

一日の訪問者数が20人に満たないのに、
定期的に問合せがあって仕事につながっているブログもあれば、

毎日300人以上が訪問しているのに、
知り合いやネット上のお付き合いで賑わっているだけで、
実際の仕事にはまったくつながらないブログもあります。

「仲良し同士の遊び場」が作りたいなら、それでもいいでしょう。
しかし、仕事で情報発信をしているとしたら、「意味のないブログ」です。

着実に結果を出しているブログは、「ちゃんと考えて書いている」。
結果が出ていないブログは、アクセス数や賑わいばかり気にして書いている。

あなたが気にかける相手は、仕事で話しかけるべき相手は、誰ですか?

たとえば私にとって、気にかけている相手とは、
こうしてメールをしっかり読んでくれたり、
ことば学講座に足を運んでくれたり、ブログにコメントしてくれて
レッスンを真剣に受けてくれる、そう、あなたのことです。

真剣に読んでくれるあなたに向けて書くことが大事なのであって、
アクセス数などどうでもいい。

中には「ブログに変なコメントを書かれてしまって、
気になって記事が書きづらくなってしまった」という方もいましたが、
仕事のブログなのであれば、あなたに仕事を頼まない人が何を書き込もうが、
何を考えようが、どうでもいいことでしょう?

放っておけばいいのですよ。
仕事のブログを書いているということは、プロとしての作業なのだから、
本質を捉えて地に足のついた仕事をしましょうね。

「誰に向けて書いているか」を意識していますか?
文章を書く際の大原則ですよ。

たとえば私なら、「真剣な受講者」が相手です。
それ以外の人たちは、相手にしていません。

実は先ほどから、ことば学講座の申込みがぽつぽつと届いています。
おかしいと思いませんか?
このメールが、ことば学講座のお知らせなのに、
つまり、申し込める状態になったことを誰も知らないはずなのに、
さっきからお申込みが来ている。

つまり、こちらからまだ連絡していないのに、
「そろそろ申し込める時期だろう」と思って、
自らいつもの申込みページを覗いてチェックしてくれているのです。

しかも、「今回のテーマ」もまだ告知していないのに。
つまりは、テーマにかかわらず、
参加することを最初から決めている方々です。

そういう「真剣な受講者」に向けて、私は文章を書いています。

「今回のテーマは何ですか? 私に必要なテーマなら参加したい」
という人に向けては書いていない。

言葉だろうが意識だろうが声だろうがトランスだろうが、
すべてが根底でつながっているのだから、
ことさらに「今回のテーマは」なんて決める必要もないのです。

そんな真剣な受講者だけに向けて文章を書き、
話をしているから、私も本気になれるのです。

アクセス数なんかに気を取られて取り組みがブレたら、
いつまでも結果は出ません。

「誰に向かって書くのか」をいつも意識して、
相手本位で丁寧に書きましょう。

* * *

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人前でのスピーチより大事なワケ

●人前でのスピーチより会話が大事

「人との接触でストレスを感じているなら、
人との接触を避ければ避けるほど、ストレスは大きくなる」

知っておきたい法則として、前回お話ししました。

人との接触を避ければ避けるほど、対人ストレスは大きくなります。

MKCが「会話」を取り上げ、あなたに会話をマスターしてほしい理由が
ここにあります。

人との接触を避けなくていいように、会話を会得しておくのです。

人前でのスピーチは、たしかに緊張しますね。
「人前で話すのが一番イヤ」と嘆く人も少なくない。

しかし、毎日欠かさずスピーチをする人はいません。
ほとんどの人にとって、スピーチは稀で特別な出来事です。

だから本番に備えてじっくり準備をして、練習を重ねて臨める。
時には何ヶ月も準備できる場合だってある。

しかも、わずか数十秒で終わる。

数十秒ですよ。
1、2、3……と数えているうちに終わってしまうのがスピーチです。

ところが、会話はそうはいきません。

会話は毎日欠かさず起こる。
しかも展開がわからないから練習できず、
しかも数十秒なのか数十分なのか数時間なのか、時間も決まっていない。

しかし、会話の最も大事な、そして最も怖い働きは、
もっとほかのところにあるのです。


●「自分と合うか合わないか」を判断されてしまうのが会話

誰かと会話をしている場面を思い出してください。

「この人とは会話が弾むなあ」
「気持ちよく話せる」
「とっても素敵な時間になる」
「もっとずっと話していたい」

とポジティブな気持ちになることもあれば、

「なんか間が合わなくて、つらい」
「話題がかみ合わない」
「考え方がぜんぜん違う人みたい」
「あ~、沈黙が気まずい……」

とネガティブな気持ちになることもあるでしょう。

相手にとっても同じです。あなたが自分にとって「合う人」なのかどうか、
無意識のうちに会話から読み取っているのです。

スピーチなら、もっと気楽です。

いくら下手なスピーチをしても、
「緊張しているんだな。わかるなあ」と共感してもらえる。

「人前での緊張感」がわかるから、下手でも、間がおかしくても、
引用した具体例がなんか場にそぐわなくても、
その分を差し引いて受け取ってもらえる。

「話し方には“人”が出る」とはいうものの、スピーチならかなり
「甘く見えもらえる」のです。

会話はそうはいきません。
「“人”がそのまま会話に出ている」と判断されてしまいます。
会話が合わなければ「合わない人」と判断されてしまうのです。

スピーチはある意味、遠くから客観的に見てくれます。
ネガティブな愚痴や悪口を連発していたとしても、
「なんだあの人、変わった人だなあ。そういう芸風なのかな」
くらいに距離を置いて見えもらえる。

ちょっと悪ノリした大げさな話し方をしても、
「ちょっと無理してまで、がんばっているんだなあ」
と好意的に受け取られることだってある。

しかし、会話はダイレクトに「“人”が出ている」と判断されます。

会話で悪ノリして悪口を言いまくれば、
「ムリしてがんばっている」ではなく、
「こういう人なのか」「夢中になると悪口の連発なんだ……」
とそのまま受け取られてしまう。

スピーチでがんばりすぎて痛々しい話し方になっても、
友人から「おまえかなり痛かったぞ」とフォローしてもらえるけれど、
会話が“痛い”と、そもそも友人になってもらえない。

スピーチは非日常、会話は日常です。

つまり、会話は「あなたそのもの」です。

現在のあなたの人間関係、仕事で置かれている状況、
プライベートで大切にされているかどうか、
これからの人生が豊かになっていくか下降線をたどるのか、
──すべてが「会話力」によって決まっています。

私たちの人生にとって、かくも「言葉」が大事なんですね。


人との関係がうまくいけば楽になるのに

●食べ物より音楽より大事なこと

私たちは何に喜びを感じ、何にむなしさを覚えるか。

何にストレスを感じ、何によってストレスが軽くなるのか。

答えは──「人とのつながり」。

ベタなようですが、これが真理だということを、
大人のあなたはもう十分わかっているでしょう。

おいしい食べ物も好きな音楽も、喜びを感じさせてはくれます。

しかし、大好きな彼にフラれそうだとわかった瞬間、
音楽はむなしく響き、食事は砂を噛むようになる。

音楽を聴かない日が続いても困りはしないし、
好きな食べ物がなくても何か食べられれば文句はない。

しかし、人間関係がうまくいっていない職場は一日でもつらい。

──ということは誰でも実感を伴って、わかる。

「性的成熟度が低いと人間関係がうまくいかない」メカニズムは
MKCのレッスンを受けていないと理解できないけれど、
「人間関係がうまくいかないと、つらい」のは小学生にもわかります。


●いま感じている「つらさ」が軽くなれば

「一人が気楽でいい」と思う人も、
実は「人とのつながり」があると確信できていて、
もしものときは助けてもらえると信じているからこそ、
そんな暢気なことを言っていられます。

人との関わりを避けたい人でも、「何かあったら救急車」と思っている。
救急車だってオペレーターと会話をしなければ来ないのに。

家にこもって一人で過ごすのは、たしかに気楽でしょう。

しかし、「お腹がすいたから何か食べよう」としても
誰も食品を売ってくれない、出前にも応じてくれないとしたら、
「一人が気楽」と言っていられるか。

窓ガラスが割れても誰も直してくれない。
水道から水漏れしていても、自力でなんとかしなければならない。

ゴミだって、町内会など自治会として収集してもらえるのであって、
自治会との関わりを嫌がるなら自力で収集業者を呼ばなければならない。

業者を呼ぶのだって、「人とのつながり」ですよね。

他者との接触がストレスを生むといっても、
他者との接触を避ければ避けるほどストレスは大きくなるはずです。

まして関係が近くなれば、なおさらです。

家族や恋人、職場の同僚や取引先など、
頻繁に接する相手とうまくいかなかったら、つらい。

今もしあなたが、日常生活の中でストレスを感じているなら、
対人関係がうまくいけば、そのストレスは大幅に軽減するでしょう。

「人との接触でストレスを感じているなら、
人との接触を避ければ避けるほど、ストレスは大きくなる」

この法則は、知っておいて損はありません。


●職人や芸術家になればいいのか

「凄腕の職人や芸術家、技術者みたいに、
対人関係が下手でも生きていける仕事はありそう」

そう考えて、人との接触が少なそうな職業を選ぶ人もいるそうです。

たしかに、たとえば翻訳者は与えられた仕事を自宅にこもって
コツコツこなせばよさそうに見えるのでしょう。

システムエンジニアはコンピュータとだけ向き合っていればよさそう。

画家は毎日好きな絵を描いていれば食べていけるだから、いいなあ。

──そう思うかもしれません。

でも、私は翻訳者として生活していた時期もあるので
事情をある程度は知っていますが、生計が成り立っている翻訳者は
「コミュニケーションができる人」でした。

演奏家もそうです。

「演奏が凄ければ、コミュニケーションなんかしなくても引く手あまた」
と思うでしょう?

しかし、演奏で食べていける人は、話せる演奏家です。

ステージでのトークのことではありません。
関係者や共演者とのやり取りです。
コミュニケーションが億劫では、演奏の機会を与えてもらえません。

やはり対人関係です。

ましてお客さんや同僚と頻繁に話をするような職場なら、
「対人関係で快不快が決まる」といっても過言ではありません。

MKCレッスンを受けているあなたに、トランス能力を獲得してほしい理由は
ここにあります。

トランス能力が低いと、どうしても「ぶつかる」のです。
だから対人関係で摩擦を起こし、きもちいい会話ができません。

これからの人生を豊かなものにするために、トランス能力を高め、
対人能力を高めて、大人の余裕で生きていきましょう。

プラトー期が分かれ道になる理由

●変われる人、変われない人の違い

何かを身につけたくて何かのトレーニングを始めても、
身につく人と、身につかないまま終わる人がいます。

・英会話教室に通い始めた
・スポーツジムに通い始めた
・Officeの資格を取る勉強を始めた
・着付けを習い始めた

もちろん、すでに何年も前かもしれませんが、

・MKCのレッスンを受け始めた

これは筆頭に挙がりますね。

このように、何かのトレーニングを始めるというのは、
すべて「自分を変える」ためです。

言い換えれば、「今の自分のままでいい」と思っている人は、
何かを始めません。

まあ、実は例外はあって、社会生活がまともに送れないほど弱ってしまうと、
「あなたのままでいい」「変わらなくていい」
と言ってくれる相手を求めてさまようのですが、
元気になれば「やっぱり変わりたい」「こんな自分を変えたい」
とまた成長を求めるようになります。

「成長」は生物の本能なんですね。

ところで、トレーニングによって「成長」したいとき、
最も重要な局面はどこにあるか、知っていますか?

変われる人、変われない人の違いがいつ現れるか、です。


●成長にとって最も大事な局面

最も重要な局面は、「変化が感じられない時期」です。

つまり「プラトー期」ですね。

プラトー期に、成長できるタイプは生き残り、
成長できないタイプは脱落します。

だからあなたは、変化が実感できないプラトー期には
何があっても脱落しないようにしがみついてください。

何かを始めた初期は、変化が大きい。
それはそうです。昨日までやっていなかったことをするのですから。

英会話を習い始めて、「語彙を増やしましょう」と単語リストを
宿題に渡されたら、毎日数十語が自分の中に入ってくる実感があるでしょう。

「昨日より今日の自分のほうが単語を知っている」「学ぶって楽しい」
と実感できる。

ところが、そのまま続けて1年経つと、
「昨日より今日の自分のほうが、単語を知っている」
という実感はなくなる。

1年前の自分より、「実力」はずっと上です。

なのに、「変化の実感」は1年前のほうが上だった。

語彙を増やすトレーニングを今でも毎日続けているなら、
実力はちゃんと毎日伸びているのですよ。

ただ実感できないだけで、
水面下でちゃんと成長を続けています。

このように、数字や実感として表に現れる時期と、
水面下で進行する時期が、何事にも必ずあります。

水面下で進行する時期をプラトー期(停滞期)といいます。

高度な課題ほど、水面下の時期が長い。

「英検4級を受けるぞ」と勉強を始めたなら、
ほとんど直線的に「完成」に到達できるでしょう。

しかし、「ピアノが弾けるようになりたい」と習い始めても、
プラトー期を何度も何度も味わうことになる。

あなたが取り組んでいるのは、たやすい課題ではないでしょうから、
毎日のように達成感など味わえない。

プロのピアニストが日々の練習で「やったあ、昨日より上手になった!」
なんて感じられないように。

だから、プラトー期にこそ、怖い分かれ道があるのです。


●プラトー期を楽しもう

達成感が味わえる初期や、簡単な課題なら、誰でもやり遂げられます。

サルでもできる。

本当ですよ。心理学実験で、サルに適度なご褒美(達成感)を与えれば、
喜んで課題に取り組み続けます。

ご褒美(達成感)が来ないとわかると、途端にやる気を失う。

人間の場合は、学習メカニズムを知っているからか、
サルとは違う反応になります。

プラトー期にやる気を失って脱落してしまう人もいる一方、
プラトー期を何度でも乗り越えて成長できる人もいる。

それがサルからの進化なのかもしれませんね。

これから取り組んでいただく「会話」という課題も、そう。
人間関係にとって、「会話を制する者はすべてを制する」と言えます。

今このタイミングであなたにトレーニングしてほしいので、
「会話」というテーマを取り上げるわけです。

「会話」は高度な課題です。
練習なしに、相手を気持ちよくさせる会話はできません。
練習なしに、会話にストレスを感じなくなるはずがありません。

高度な課題だから、何度もプラトー期を迎えるはず。

プラトー期を楽しみながら、会話という課題に取り組みましょう。

あの人の会話を真似してもダメだった理由

●なぜ真似をしてもうまくいかないのか

私たちは生まれてから、何でも親の真似をして学びます。

「学ぶ」と「真似る」は同じ語源とされるように、
親の言葉を真似して、しゃべるようになるし、
周囲の人たちが立って歩いているのを見て、
やがて立とうと試みるようになる。

ところが、「真似が裏目に出る」ケースもあります。

親が早口だと、真似て早口を受け継いでしまう。
親が感情的にしゃべるタイプだと、いつの間にか真似てしまい、
感情を爆発させるのが当たり前になる。

食べる速さも、落ち込み方も、お金の使い方も、
叱り方も、叱られたときの反応も、無意識のうちに真似てしまう。

「嫌なところほど似る」と言いますね。
もっとも、嫌なところほど気になって「うわ、母譲りだ」と気づきますが、
ちゃんと良いところもたくさんもらっているんですけれどね。

だから、何でも真似すればいいわけではありません。
何もできなかった子供の頃は、「真似るしかなかった」ということ。

もし仮に、「早口でまくしたてる」とか「叱られると暗くなる」
ようなネガティブな反応を卒業したいなら、
大人になってから自力で「再学習」する必要があります。

このレッスンが、まさにそうですね。


●真似をしないでセオリーどおりに練習

たとえば、前回に取り上げた「会話」。

会話上手な人が身近にいたとして、その人の話し方を真似しても、
会話上手にはなれなかったでしょう?

文章でも、そんな話をよく聞きます。

文章の書き方を取り上げた講座に出た方から、
「講座で教わった型より、先生の文章を真似して練習したら
一番の近道ですよね」と言われたのです。

しかし、それは違います。
バイオリンのレッスンに通い始めた子供が、
「先生の真似をしていたら上手になった」ということはないでしょう?

これまでの経験の総量も意識内容もぜんぜん違うので、
真似しているつもりでも、表面的な真似しかできていないのです。

伸びて上手になる子は、「先生の真似をする」子ではなく、
「先生に教わったとおりに練習する」子です。

文章を書いていても、型を完全にマスターした人が書くと、
型が見えなくなる。

そんな書き方を真似しようと、「なるほど~、必ずしも
型を守らなくてもいいんですね~」なんて言って、
「カタナシ」になってしまいます。

「先生をお手本にしてがんばります」と言われたとき、
「私を手本にしないで、教わったとおりに練習してください」
と答えるのは、そういう理由です。

生まれも育ちもバックグラウンドも見た目も年齢も性別も
何もかも違うのだから(誰でもそうですね)、
仮にコピーしたように同じ文章を書いたとしても、
読んだ人の反応はまったく違います。

私の文章をコピーして、あなたのブログに貼り付けても、
あなたの読者は違和感しか感じないでしょう。

真似は正解ではありません。
ベースにあるもの(思考法など)を身につけてください。
そうすれば、あなたの生み出すもののクオリティーは
年々着実に高まっていきます。

人と良い関係を築く「会話」も同じですよ。


●会話にもセオリーがある

会話にも、セオリーがあります。
セオリーを守って練習すると、着実に上達します。

すでに上手な人の真似をしても、上手になりません。
真似をしているつもりで、表面的な「ものまね」にしかならない。

会話には、いろいろな要素があります。
声もあり、しぐさもあり、話題の選び方もある。

「会話が続かない」
「沈黙が気まずい」
「自分ばかりしゃべって自己嫌悪」

こんな現状を打破するのが、「秋の講座」です。

あと2ヶ月ですね。心の準備をしていてください。

次のテーマは「会話」

先日、この話を軽~く告知したところ、

「会話ですか! 待ってました~。一番苦手なのが会話なんです」

という喜びのメールが数分後には届きました。
数秒後だったかな。とにかく、すぐに。

「これで会話の練習ができる。助かった~」という気持ちが
痛いほど伝わってくるメールでした。

「会話が苦手」という人は多いんですよね。
でも大丈夫ですよ。苦手意識があるからこそ、上達するのですから。

それにもしかしたら、あなたの苦手意識を助長する「上手な人」は、
本当は上手でもなんでもないかもしれません。

今日はそんな話です。


●Bさんの話し方はどんなタイプか

カフェで隣のテーブルの女性二人連れがおしゃべりをしていました。

A:昨日うちでアレンジティー作ったの
B:えっ、スゴ~イ。どんなの?
A:生のミントがそろそろ終わりかなと思って贅沢にむしって──
B:いいなあ、いいなあ。ミント育ててるんだ
A:ミントは簡単なの。世話なんかしなくても育つし──

みたいな会話で、私にもなじみのある内容でした。

Aさんの「アレンジティー談義」は、隣で聞いているだけで
真似して作れるくらい、内容が明確でわかりやすく、
すばらしい「説明」でした。

しかし、感心したのはむしろBさんの話し方。

上の例だけではわかりにくいかもしれませんが、
「この話し方をされたら、Aさんは話したいことを気持ちよく話せるだろうな」
と明らかにわかる、見事な話し方でした。

しかも、単にポツン、ポツンと相づちを打つだけではなく、
ある程度の分量の台詞をちゃんとしゃべっているのです。

Aさんのような「上手な説明」ができる人は、めずらしくありません。
基本を押さえて練習すれば、できるようになります。

しかし、Bさんのような「上手な会話」ができる人は
たいへん少ない。

会話に正解は無いとはいえ、「いい会話」はあります。
「気持ちいい会話」ですね。

気持ちいい会話は、相手への最高のプレゼントです。


●本当に上手な話し方、実は下手な話し方

何事も、上達には「慣れ」「場慣れ」が必要です。
すなわち「練習」ですね。

「会話の練習」をしたことがありますか?
おそらく、まったく無いか、ほとんど無いでしょう。

今はそれでいいですよ。あなただけではありませんから。
「会話の練習」をしないまま、毎回場当たり的に会話をしているのが
多くの人の現状です。

しかし、会話は毎日する行為だから、いつしか「慣れ」てしまう。
そこに難しさが潜んでいます。

「会話慣れ」は、下手な会話に通じます。

相手の都合や反応におかまいなしにずーっとしゃべり続ける姿は、
口下手な人の目には「わ~、おしゃべりが上手」と映るのですが、
かなり下手なほうのしゃべり方です。

オバチャンタイプといえるかな。

自分の主張があって、相手の主張が入り込む余地のないように
有無を言わせぬ力強い話し方をするのも、会議などで見ると
「わ~、スゴイ。私なんか子供みたいで恥ずかしい」
という思いにさせられるでしょうが、さらに下手なほうのタイプです。

エリート社員を自認するタイプにありがち。
政治家もこの手の話し方をすることがよくありますね。

影響力を持ちうるだけに、オバチャンタイプのほうがまだマシ。
政治家でも本当に優秀な人は、「相手の話を聞く」時間のほうが長い。

なのに自己主張がしっかりしていて押しの強い話し方をされると、
圧倒されてしまうんですよね。

「自分も同じ調子で話さないと、バカっぽく思われるかも」と気になって、
がんばって必死に「うまいこと」言おうとするけれど、
次々に適切な言葉を思いつくわけでもなく、落ち込んでしまう。

大丈夫。落ち込まなくていいんです。
会話のレッスンで、「上手な会話」の感覚が変わります。

今まで「ああいう話し方が会話上手」と思っていた話し方が
あるフィルターを通してみると「下手なタイプ」とわかり、
口が達者なわりに人から敬遠されている理由がわかってくる。

逆に、そのフィルターを通すと「この人は上手なタイプではない」
と思っていた人が、実はすばらしく上手な会話をしていて、
なぜか周囲から頼りにされ愛されている理由がわかってくる。

今まで見えていなかったものが見えるようになり、
聞こえなかったものが聞こえるようになると、
「上手な会話」の感覚が変わり、目指す姿も変わります。


●沈黙が気になるのに、言葉が出てこない

あなたは「会話」の悩みを聞かせてください。

沈黙が気になるのに、言葉が出てこなくて気まずい時間を過ごすのも、
よくある会話の悩みです。

電話が切れない、会話を切り上げられない、
しゃべり続ける相手に割り込めない、
といった悩みもよく耳にします。

「キミとの会話はつまらない」と思われてしまうのはどんな会話で、
何が原因なのでしょうか。

「その会話では、いずれ別れが訪れる」とされるのは、
どんな会話なのでしょうか。

11月28日(土)の「秋の講座」で取り上げます。
今から「会話」に向けて心の準備を進めていきましょう。